2004-05-03
治療の前提
中国医学では、人間の健康は、
- 生まれ持っての元気
- 生活習慣に由来する元気
この二者が重要と考えます。
前者を「体質」、後者を「体調」と考えてもいいでしょう。 それで、患者さんが訴える治したい病気・症状は、
- 体質と体調が生み出す。
- 病気・症状は体質と症状の結果である。
と考えます。そこで、治療は、「体質の改善」と「体調の改善」に、 重点を置くのが中国医学本来の治療なのです。
治療を受けているけど、症状がなかなか好転しない・・・
その大きな原因が体質と体調の改善の治療という観点が、
抜けていることが多いからです。

ここで、「体質」とは「生まれ持っての生命力」、「体調」とは「生活習慣に由来する生命力」、 と、イメージするといいでしょう。生命力を生み出す基本は、 栄養分を消化・吸収・代謝してエネルギーを取り出す、 老廃物を排出させる能力です。生まれ持っての生命力を 中国医学では「先天の気」と呼んでいます。 体質由来の元気です。先天の気は
- 親から受け継いだもの、
- 成人するまでの人生で培われた体力・元気
からなります。それに対して、生活習慣によって左右される生命力を、 「後天の気」と呼んでいます。後天の気は、
- 何を食べているか、
- どのような仕事をしているか、
- どのような生活習慣を送っているか、

によって、大きく変わってきます。中国医学の治療は、「先天の気」と「後天の気」両者の治療の 二本立てで行うのが基本です。 ところが、現在行われている現代中医学は、主に後天の気の変調、つまり生活習慣に由来する生命力の変調にアプローチするような体系になっています。人が持っている本来の元気にアプローチするような体系には、あまりなっていません。
当院が属している中華伝承医学会のベーネグループは、この部分のアプローチを重要視しています。口伝によって代々伝えられてきた、 生まれ持っての生命力(体質)と、生活習慣に由来する生命力(体調)両者にいかにアプローチしていくかという体系になっています。
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