toggle
2008-12-02

うつ病(鬱病)の鍼灸治療

最近、社会状況を反映してかうつ病の患者さんが増えています。ぎっくり腰や寝違い、あるいは風邪みたいに1回~数回で終わることができるわけではありませんが、鍼灸治療はうつ病にかなりの効果をあげることが出来ます。

精神医学的には、うつ病は気分障害の一種です。基本的な症状として、教科書的には以下のようなものがあげられています。

  • 強いうつ気分興味や喜びの喪失
  • 食欲の障害(過食・拒食)
  • 睡眠の障害・精神運動の障害(制止または焦燥)
  • 疲れやすさ、気力の減退強い罪責感
  • 思考力や集中力の低下
  • 自殺願望

原因としては器質的疾患由来のものや、社会環境・人間関係によるものがありますが、複数の要因が重なっていることが普通で、不明なことも多いです。生理学的にはセロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、それによってうつ病が生じるとされています。

うつ病の鍼灸治療

中国医学には七情という考え方があります。七情とは怒・喜・憂・悲・思・恐・驚を指し、これはコントロール出来なくなった感情を七つに分類したものです。うつ病もこの七情の病いの中に分類されます。ですから、中国医学においては七情の治療が、治療の柱となります。

七情治療のポイントは中国医学の観点から何に由来しているのかをはっきりさせ、それの治療をすることです。これは結構繊細な治療技術が要求されますが、しつこくはあっても難しい治療ではありません。

西洋医学的に見てベースに器質的疾患があればそれをまず治療します。なければダイレクトに七情の治療をします。器質的な異常がなければ、比較的簡単な治療です。

1週間に1~2回ペースで、5~10回くらい治療すれば相当改善がみられることがほとんどです。どれくらいの期間が治療に必要かは、程度によります。10回を1セットと考えて、1セット終わるごとに次はどうするかご相談して決めるというのが、当院での治療の基本的な進め方です。

最初のうちは一回の治療を簡単に終え、治療頻度を多くする方が、肉体的・精神的負担が少ないです。人間関係や社会環境が大きく作用している場合は、カウンセリング・心理療法などの併用が必要になってくることもあります。精神科で薬が処方されている方は、急に服用を止めないことが注意点です。

以上は基本的な治療の話ですが、中国医学では西洋医学の治療のサポートもできます。

たとえば、中枢神経に働きかける薬物やホルモン剤などは中国医学でいう陰虚の傾向が強くなったり、胃腸に負担をかけるものが多いです。特に多種類のお薬を服用されている患者さんはその傾向が強くなります。この部分を改善させるのに中国医学、鍼灸でかなり効果を上げることができます。

関連記事