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2020-01-23

『埋もれている脈診の技術 気口九道』の捻転の記述について

先日、facebookの鍼灸師が集まるグループページで、『埋もれている脈診の技術 気口九道』(平口昌幹編)の捻転に関する記述(p30,基本刺鍼手技 捻転の補瀉)がよくわからないという質問がありましたので、私なりの理解をお答えいたしました。そのまま埋もれてしまうのはもったいないので、ここに一部修正した上でここにアップしておきます。

N先生、ご質問ありがとうございます。できあがった本を通読したときに、みなさん混乱なさるだろうと感じた部分です。私なりの理解をいかに記しますので参考になさってください。

◎補瀉に関する基本的考え方
捻転の前に補瀉に関する基本的な考えとして、経穴の補瀉と経絡の補瀉と臓腑の補瀉と全身の補瀉は別物という発想が前提としてあります。経穴を瀉しても経絡や臓腑・全身が補されることもあれば瀉されることもあります。経穴を補した場合も同じです。それがまずの大前提です。

◎捻転の大前提
次に捻転の大前提ですが、右回り(時計回り)だとその経穴の部位が緩みます。左回り(反時計回り)経穴の部位に経気が集まってきて締まってきます。前者を経穴の補、後者を経穴の瀉と呼んでいます。

◎経絡の疏通と補瀉
経絡に対する捻転ですが、経絡は通じている状態が平なので、経絡のどこかが虚して詰まっていても実して詰まっていても通じさせて平するというのが気口九道の基本的発想です。そこで経絡上で実している部分を捻転の右回りで緩めても、虚している部分を左回りで締めて経気を集めても、経絡が通じれば平になります。経絡の実から平へが瀉、虚から平へが実ととりあえずは考えてください。実際はどちらも経絡を通じさせて平するので「疏通」なんですが。
足の陽・経手の陰経・督脈は補というのは体幹から末梢へ経気を集めたいので、末梢の経穴に向かって経気を集めればいいわけて、捻転の左回りで経穴を締めてやれば集まってきます。それが補ですね。右に回りに捻転すると集まらないようにするので瀉です。足の陰経・手の陽経・任脈は逆に考えてください。これも補瀉というよりも「疏通なんですけどね」。臓腑や身体全体の補瀉とはここでは分けて考えています。組み合わせて考えるには気口九道の発送だけでは無理です。

◎捻転の「効かせ方」のポイント。
・鍼の深さは肌肉位と血位の間の血位より、解剖学的には筋膜の少し上くらいに経気の疏通しやすい深さがあります。同じ人でも体調や季節によってすこしかわりますので、その位置を見つけてください。
・捻転の速度ですが、回旋を脈拍にあわせます。なれたら指頭感覚でわかるのですが、それまではあらかじめ一呼吸の脈拍回数を診ておけばいいです。正常は一拍四至なので鍼を立てたときに患者さんの呼吸(肋骨の動き)を診ながら呼気吸気それぞれ2回ずつします。そうすると同調してくるので、それより早く回旋すると心拍は速くなります。回線速度を遅くすると心拍がさがります。
以上は「単なる知識、机上の空論、鍼の文化史的な知識」などではなく、流派の先祖が代々深い学識と臨床経験・体表観察によって得られ伝承してきた技術です。だから安心して、できるようになるまでためしてください。必ずそのとおりに変化します。

◎補足

本の後半の十二経絡・奇経八脉講義は気口九道の発想+αの技術が入っていますので、理解いただくには気口九道とは別の考え方も必要です。

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