ブックカバーチャレンジ7日間~7日目『気 流れる身体』 

七日間 ブックカバーチャレンジ七日目

(テーマは、同業者に読んでもらいたいスピオタの七冊~)

7日目最終日は石田秀実先生の『気 流れる身体』です。

石田秀実先生は中国哲学の大家である金谷治先生のもとで学ばれた文献学者です。大学教員としては数少ない古医書の研究者でした。

本書は古医書に見られる身体観を文献学的に整理したものです。基本的な人体論から始まって、内丹(中国におけるクンダリーニ・ヨーガ)や存思(人体に対する道教的瞑想法)まで、文献学的にしっかり整理されています。重要なポイントは、文献学者として抑制的な表現をしつつも、中国古代の人体観も、『神智学』のところで述べたような、霊魂体の三分節的視点をもって、人体論を論じているところです。このような観点から中国の古代思想を語る人は少数派です。

たとえば現代中医学は中華人民共和国ができてからまとめられた伝統医学ですが、共産党一党独裁体制下でまとめられたので、基本的人体観がきわめて唯物論的です。日本においても昭和の時代ははっきりと人体三分節論手的発想で書かれたのは少ない。たとえば古医書を文献学的にきっちり読みこうもうと活動し、業界の指導的立場にいた丸山昌朗先生の「黄帝鍼経講」なんかでも、煮え切らない表現で解説されています。しかしよくよく古代の文献を読むとそういう発想では書かれていない。人体三分節的発想で読み込んでいくと理解が深まることに気づくと思います。本書が発刊されてから30年以上経ちますけれども、これ以上の教科書的な本はいまだ出ていません。ちょっとさびしいところです。たぶん石田秀実先生の後を継ぐような研究者は松田博公先生くらいじゃないでしょうか。古医書以外の分野では人体三分節的発想で論じられた論文が出始めているみたいなので、もっとひろがって常識になって欲しいと思います。

この本は講義レジュメを書いたりするときにいつも参照しています

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「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」って、みなさんやってますけどルールが、「①本についての説明はナシで表紙画像だけアップ②その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする」というのでちょっとチェーンメールっぽい。ということでルールには従わず、勝手に毎日1回、計7回アップしてみたいと思います。

ブックカバーチャレンジ7日間~6日目『意識と本質』 

七日間 ブックカバーチャレンジ六日目

(テーマは、同業者に読んでもらいたいスピオタの七冊~)

6日目は井筒俊彦先生の『意識と本質』です。仏教との関連なら『意識の形而上学~『大乗起信論 』の哲学』をあげても良いのですが、影響度でいえば『意識と本質』ですね。井筒先生は世界的に有名な言語哲学者であり、日本におけるイスラム思想研究に大きな影響を残された方でもあります。東洋に通底する宗教的思想の構造を言語哲学の観点から説き明かすのをライフワークにされていました。先生にとって東洋はギリシャから東だそうで、天才的な言語習得能力を生かして、異なった言語の原典をそのまま理解するという天才ぶりを発揮してたくさんの著作を残されました。2日目にあげました『神秘学講義』の著者である髙橋巖先生は学生時代に井筒先生の授業を受けられたのですが、ついていくのにずいぶん苦労されたことを私たちによく語ってくださいました。学んだ言語は100以上、晩年でも20以上の言語を自由に使って研究されてたようです。

『意識と本質』というタイトルの著作ですけれども、ここでポイントとなっている「意識」や「本質」とはなにか?人間がなんらかの現象を認識しようとするときに、その現象そのものを認識できるのか、それとも主観的にしか認識できないのかという、古代から続く認識論と存在論の基本的な命題議論があります。そういう議論がなされてきたけれども意識の変容と普遍認識問題が無視されることが多いが、古代においては西洋にしろ東洋にしろ、意識の変容と普遍(本質)認識を前提に存在論と認識論の問題を解決しようとした立場があったのだということを、本書でたくさんの原典を引用しながら論じておられます。

つまり、自分と自分の外にある現象との断絶を、「意識」の変容によって「本質」を認識することが、その断絶を乗り越える唯一の道であることを、古代の人たちは修行を通して体験していたことを明らかにしたかったのだと思います。井筒先生の書物は博覧強記でなかなか難しく感じる方も多いんですけれども、他の書物も基本的にこういう立場で書かれてあることを理解すれば、博覧強記にまどわされないで、読み進めることができるかと思いますます。

私は「宗教経験を言語哲学的に説明するとこうなる」ということを本書から学んだように思います。

他ではなかなか読めない易や宋学の議論も出てくるので、同業者に勧めるんですけれども、なかなか読んでいただけないのがちょっと寂しい。

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「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」って、みなさんやってますけどルールが、「①本についての説明はナシで表紙画像だけアップ②その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする」というのでちょっとチェーンメールっぽい。ということでルールには従わず、勝手に毎日1回、計7回アップしてみたいと思います。

ブックカバーチャレンジ7日間~5日目『解説ヨーガ・スートラ』 

七日間 ブックカバーチャレンジ五日目

(テーマは、同業者に読んでもらいたいスピオタの七冊~)

大学では仏教学科のインド学専攻ということで、インド仏教やインド哲学を学びました。卒論にはインド六派哲学とよばれる中のヨーガ派の根本経典である『ヨーガ・スートラ』を選びました。

ノートにサンスクリット原典を書き写して、文法解説を加えながら梵英辞典と翻訳書数冊をもとに訳していったのが懐かしいです。参考にした本の中で一番よかったのが佐保田鶴治先生翻訳の『ヨーガ・スートラ』でした。

佐保田先生は阪大でインド哲学を教えておられてたのですが、定年退官されてから本格的に行に入られ、日本でも有数のヨーガの教団を作られました。ヨーガ系の原典の翻訳書や解説書をたくさん出版され、日本のヨーガ界に多大な影響を与えた方でした。

佐保田先生が亡くなられてから、『ヨーガ・スートラ』の翻訳がいくつか出たのですけれども、インド人の書いた注釈書の翻案的なものだったり、流派色が強かったり、サンスクリットがほとんどできないのではという疑問が生じるものが多く、学者の訳したのでも修行してないので原文のニュアンスが分かってないなと思わせるものばかりで今に至っています。佐保田先生が亡くなって30年以上になるのですけれども、原典に忠実な訳としてはいまだにこれ以上のものが出てないです。日本でこれだけヨーガが普及しているのにちょっと寂しい状況なのですが、ヨーガの瞑想行まできっちり実習しておられる若い学者さんも出てきているので、これからもっと良い翻訳が出てくるのではと期待はしています。

蛇足ですけど、佐保田先生が阪大を退官なさった後任が山口恵照先生です。ヨーガ派と近親の派であるサーンキャ哲学を研究なさっておられました。阪大を定年退官された後、私の母校に非常勤で来られ、私も授業を受けました。十分間の黙想から授業が始まり、ユニークな先生でした。

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「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」って、みなさんやってますけどルールが、「①本についての説明はナシで表紙画像だけアップ②その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする」というのでちょっとチェーンメールっぽい。ということでルールには従わず、勝手に毎日1回、計7回アップしてみたいと思います

ブックカバーチャレンジ7日間~四日目『神智学』 

七日間 ブックカバーチャレンジ四日目

4日目はルドルフ・シュタイナーの『神智学』をあげたいと思います。
この本は2日目に取り上げた、髙橋巖先生の『神秘学講義』と同じ時期に出会いました。
『神智学』は、『以下にして超感覚的世界の認識を獲得するか』『自由の哲学』『神秘学概論』とともにシュタイナーの四大主著の一冊にあげられています。

仏教でいうと、ちょうど『倶舎論』のコンパクト版みたいなものです。筑摩書房のサイトから目次をコピペしますと、
・人間の本質(人間の体の本性・人間の魂の本性・人間の霊の本性 ほか)
・霊の再生と運命
・三つの世界(魂の世界・魂の世界における死後の魂・霊界 ほか)
・認識の小道
となっています

「人間の本質」は人間の構成要素論で、いわゆる霊魂体の三分節論です。古代思想の人体論の基本は、洋の東西を問わず三分節論になっています。思想によってバリエーションはありますが、基本三分節論になっていて、この部分を読むだけで、仏教や中国の古代思想の基本的人間観の構造がはっきりと言語化され、バリエーションがあっても基本はおなじなのだということが分かると思います。仏教書読んだり、『老子』や『荘子』・『内経』等を読んでも現代のわれわれの感覚では分からない表現がなされているので、学者の論文を読んでも間違っていることが多いのですが、この「人間の本質」の章を読むだけでもその間違いが分かるようになってきます。

「霊の再生と運命」は輪廻転生論、「三つの世界」は心の世界・死後の世界・霊的世界が述べられていて、最後の「認識の小道」が修行論です。この『神智学』はシュタイナーの思想の根幹部分で、この書の理解無しに他の本を読んでもわかならいような位置づけになっています。

『神秘学講義』の紹介のところでも取り上げましたけれども、この本は古代の宗教書のエッセンスを、現代人にもわかりやすいよう焼き直したもの、言語化したものだと、シュタイナー自身が語っていたようです。

出会った当時はイザラ書房から出ていた紫色の箱に入った単行本で、その次に横尾忠則装丁の豪華版、そして写真のちくま学芸文庫版が出ました。どれも持ってます。

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「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」って、みなさんやってますけどルールが、「①本についての説明はナシで表紙画像だけアップ②その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする」というのでちょっとチェーンメールっぽい。ということでルールには従わず、勝手に毎日1回、計7回アップしてみたいと思います。

ブックカバーチャレンジ7日間〜3日目『密教ヨーガ』

七日間 ブックカバーチャレンジ三日目

三日目は本山博先生の『密教ヨーガ』です。『チャクラ・異次元の接点』とどちらをあげようかと思ったのですが、手もとには『密教ヨーガ』しかなかったので、こちらにしました。両者はかなりの部分が重複しています。本山博先生は神道系の霊能力者にして超心理学の研究で多大な業績をあげられた方です。東京の井の頭公園にある玉光神社を開かれたかたでもあります。子供の頃から霊能力があって、神道系の非常に高度な霊能力者であり教祖であったお母様の元で修行を積まれ、大学でも学問を修められ、行学兼ね備えた偉大な宗教家でした。戦後に後世にまで残る業績をあげられた宗教家としてはまっ先に、私はこの本山博先生をあげたいと思います。

本書はいわゆるクンダリーニ・ヨーガの研究書です。構成として、古代から現代にいたるまでクンダリーニ・ヨーガについて記された主だった文献を数点あげて紹介し、本山先生が厳選した行法の紹介、本山先生のチャクラおよびクンダリーニ覚醒の経験、チャクラやクンダリーニの生理学的研究と、盛りだくさんです。

この本には高校2年のときにであいました。中学まではどちらかというと理系人間だったのですが、高校になるとすっかりかわって仙人にあこがれて、宗教書を読みあさっていました。そんなときに出会った本です。大学生や社会人なら早々に先生のいらっしゃる東京の道場に通ってたとろですけれども、お金のない高校生ですし、ここに書かれてあることを教えてくれるような宗教家もいませんでしたので、一人でやってみたのですが、案外うまくいったのですね(独習は非常に危険なので真似しないように。下手したら死ぬか精神に異常をきたします)。

大学で仏教を学んでいたときに、本山先生のような指導能力のある密教の阿闍梨様がいたら、弟子にしてもらおうと思ってましたが、残念ながらそういう阿闍梨様とは出会えませんでした。もし出会っていたら、今のような仕事をせずに、密教系のお坊さんになっていたと思います。それ以降も密教系のお坊さんに出会って、私が理想とするような阿闍梨様がいないかたずねてみたのですが、「宗派として表立ってはそういう観点を教えてないし、教えられる阿闍梨がいても数人でしょう」と帰ってくるばかりでした。でもこの部分ができていない、理解していないなると、密教の本質的な部分ができていないことになるし、灌頂も伝法も形式主義に陥らざるをえないかと思うのです。その後、この領域を指導できる僧侶様に出逢ったのはつい数年前です。仏教以外のところで教える能力のある方はいるんでしょうけどね。

この本にはチャクラやクンダリーニと中国医学の経絡・奇経理論、内丹との関係が述べられています。本山先生はそちらの専門書も何冊か書かれておられるので、古典的な中国医学を学ぼうとする方にはとても参考になります。本山先生の著作には実際の治療にも役立つ発想がたくさんあります。
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