某LINEグループで胃腸を動かす方法について意見交換しました。胃腸を動かす方法はいろいろあるのですが、長文になったので一例としてこちらでもシェアします。

配穴の順序としての陽まわり陰まわりの法則
配穴の順序に陽まわり陰まわりの法則というのがあります。
たとえば陽まわりというのは、陽気を上げる、降ろすのは陽経を右周りに、陰気を上げる、降ろすのは左回りに配穴して行くのが順というのが基本という法則です。つまり右の足先から右の手先にかけて配穴していくと陽気が上昇するので、体表が暖かくなり、腸管の熱は冷めてすっきりします。左の手先から左の足先に配穴していくと、陽気が降りていくのでお腹が温まります。あくまでも基本法則で、穴性や刺法によってこの通りにならない場合もあります。
解剖生理を念頭に置いた右と左の違い
冷え性でお腹が冷え気味で腸管の動きが悪い場合は左の陽経を使い、そこそこ胃腸は丈夫で飲み食いしすぎの傾向のある人は右の陽経を使います。おそらく左の陽経は心臓から腸管に動脈血をよりたくさん送ってやる、右の陽経は吸収した栄養分を運ぶ動きが悪くなる、つまり門脈循環に関わっていると思われます。解剖生理学の腹腔内の動静脈循環を思い出してください。下行大動脈は左寄りに、上行大静脈は右寄りにあり、門脈血は肝臓に流れていきます。腸管に動脈血がより多く流れるとどうなるか、腸管の静脈血の還流が促進されるとどうなるか、生理学的に想像してみてください。
胃経上の下合穴
足の三陽経でもっとも腸管に働きかける力が強いのが胃経です。梅雨なので湿邪の処理を例に挙げてみましょう。
左の足三里を細めの鍼で遠位に向けての斜刺で雀啄で補してやると多気多血作用が増幅されます。多気多血でも衝陽はどちらかというと気(蠕動運動)に働きかける作用が強く、足三里は血(胃酸分泌)に働きかける作用が強いように思います。左の三里を上に向けて雀啄で補してやると門脈循環が促進されて湿熱が解消されます(過大になった多気多血作用が解消されます。たいがいは食積です)。
上巨虚は腸管の湿を除き乾燥させる作用があります。気虚陽虚気味で腸管の動きが悪くなって湿がたまっている場合は、左の上巨虚を太い目の鍼で雀啄してやると、腸管(主に小腸・大腸)に動脈血が送られて腸の動きがよくなり湿邪が改善されます。右の上巨虚はどちらかというと食べ過ぎや飲み過ぎで腸管に湿熱がたまっている場合に使います。
上巨虚が腸管の湿を除くのに対して下巨虚は腸管を流れる血液そのもの水分量を調節して湿を除くイメージです。やり過ぎると血液の粘度が高くなって滑脉になります。小腸の前半(左側)は消化液が多くて水分が多いので左の下巨虚はそうでもないですが、小腸の後半(右側)は門脈血にしろリンパ液にしろ還流が主となるので、右の下巨虚を下から上に向かって斜刺で置鍼してやると全体脉で濡脉だったものが滑脉っぽくなっていきます。

原絡配穴
上記が胃経上の下合穴を使って腸管を操作する一例ですが、今の外湿にやられやすい時期の対処療法になります。より本治法に近いやり方としては原絡配穴を使う季節です。
脉診法
こういった個々の内臓そのものを観察するには『素問』脈要精微論(17)の脉診法を使い、経絡経筋を見るのなら気口九道です。気口九道はもともと人体の天の六気を診る視点で作られました、『素問』脈要精微論の脉診は臓腑そのもの状態を診るので、組み合わせて身体の六気の動態を観察するわけです。それは難しいので腹診をしたらいいです。江戸期の腹診ではななくて、解剖生理学を前提に、腹腔内の緩滑渋急・寒熱虚実を触診したらいいです。カイロやオステの内臓テクニックの触診法は参考になります。
配穴の組み合わせ
上記は一穴のみで考えましたが二穴・三穴、それ以上使うとどうなるか、陰経と組み合わせるとどうなるかといった疑問が生じますが、それは身体の気血をどう調整するかという問題になってきます。
