瞑想中に忘れていた昔の怒りや憎しみが出てきたときの対処法

(質問)先日の日本伝統鍼灸学会のシンポジウム「気と意識の討論会」で鹿島先生は「瞑想で、あるいは気を意識して呼吸法をやっていると、問題が生じることがある。たとえばネガティブな感情がでてきたりするが、仏教やインド哲学の古典や現代の修行に関することを書かれた書物には詳細な記述や対処法が説かれている」とおっしゃっていたと思います。

私も呼吸法をやって深い意識に入ると、忘れていた昔の怒りや憎しみが出てきて振り回されるのですが、鹿島先生のご存じの対処法として、どういう方法が説かれているのでしょうか?

(答え)
ここでは東洋の仏教やヨーガの伝統にしたがって説明してみます。
基本的には随息観をベースに「眉間に意識を向けて呼吸法を行い、仏をイメージする」です。随息観とは呼吸に意識を向けながら行う、釈尊の時代(あるいはそれ以前)から存在する瞑想法です。

ステップ0(大前提)

まず大前提として次のことに注意してください。

・「過去の怒りや憎しみ」が生じても、それそのものは瞑想の対象としない。


・そういったものにどうしても振り回されるなら、かならず熟練した指導者の指導を受ける。

・通常の忘れていた昔の怒りや憎しみ程度なら以下の方法を行うことは可能ですが、精神科医からPTSDやパーソナリティ障害があると診断されている方、その傾向のある方はやらない方がいいです。どうしてもやるのなら、その治療を目的として、信頼のおける指導者、たとえば専門的に催眠療法を行っている医師や、熟練した瞑想指導者といっしょに心理療法としてやることです。

具体的には次のように行います。

ステップ1


・眉間に意識を向けたままにする。

・息を吐くときに、心から湧き上がるネガティブな感情が呼気とともに出て行くと観想する。

・息を吸うときに、天から仏さまが百会(頭頂)から眉間まで降りてきて、全身を浄化すると観想する。

ポイントの第一は、呼吸によって中国医学でいう魄気を動かすという点です(吸気は鼻から、呼気は口から行います)。

ポイントの第2は眉間に意識を向け続けることです。伝統的な説明では、ここにあるチャクラは正しく止観を行うと、人間のカルマを浄化する働きがあるとされています。

ポイントの第3は観想する仏様は如来か菩薩がいいです。プロの僧侶は別として一般の方はそれ以外の天部の神々は避けた方が無難です。如来や菩薩なら自分のご縁のある仏様がいいです。

ステップ2(経験者向けの高度な修行法)

瞑想の経験を積んでいて、伝統的に言われているクンダリーニ・シャクティをある程度操作できる方なら、呼吸に合わせて動かすと、より強力な効果が得られます。

・息を吸うときに、天から仏さまが百会(頭頂)から眉間・中央脈管と下降させていき、最下位のチャクラまで降ろす。このときに上から順に仏が全身を浄化するとイメージする。

・次に、息を吐くときに、クンダリーニ・シャクティを上昇させて眉間に流し込む。その過程で肉体・精神的カルマを焼き尽くす(浄化する)観想を行う。

・シッダ・ヨニ・アーサナを補助的に使うのも効果的。

いずれにせよ、こういう瞑想は独習で行うべきものではありません。やり方を誤ると精神状態を大きく崩し、実際に双極性障害や統合失調症と診断されるような状態に至ることもあります。特にステップ2では、熟練した指導者のもとで行うことが必須です。

まとめ

瞑想や呼吸法は、心身に深いリラクゼーションや気づきをもたらす素晴らしいメソッドです。しかし、意識の深い領域にアクセスするからこそ、時に抑圧されていた過去のネガティブな感情が呼び覚まされ、心が不安定になるという側面も持ち合わせています。

もし瞑想中に強い怒りや憎しみ、不安に襲われてコントロールが効かなくなった場合は、決して一人で無理を続けず、すぐに瞑想を中断してください。そして、信頼できる熟練した指導者や、専門の医療機関に相談することをおすすめします。安全を最優先に、ご自身の心と対話しながら実践していきましょう。

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免責事項・ご注意

本記事の目的: 本記事は、伝統的な仏教やヨーガの知見に基づく瞑想法の紹介および情報提供を目的としており、特定の医療行為、精神医学的治療、または専門的なカウンセリングに代わるものではありません。

実践における自己責任: 瞑想や呼吸法の効果、およびそれらに伴う心身の反応には個人差があります。本記事に掲載された方法を実践したことによって生じた、いかなる精神的・肉体的不調、トラブル、損害についても、当ブログおよび著者は一切の責任を負いかねます。

医療機関の受診について: 精神科や心療内科等に通院中の方、過去に精神疾患の診断を受けたことのある方、またはその傾向があると感じる方は、必ず主治医や専門医にご相談の上、その指示に従ってください。万が一、実践中に心身の異常を感じた場合は直ちに中止し、専門の医療機関を受診してください。

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