「脈で肝虚だから曲泉・陰谷を補すのが本治法」というのは学校で習いましたが、先日参加したセミナーでは「澤田流は硬結に灸をするから本治にはならない」と聞きました。先生は本治法についてどのようにお考えでしょうか?

何が本治になるかは四診弁証して全身の気血、営衛がどうなっているかによって違ってきます。どこか「硬結点をゆるめて疏通するのは瀉法」とか「六部定位脈で肝虚だから曲泉・陰谷を補すのが本治法」となどというのは間違いです。経絡治療の本治法がほんとうに本治法になるのは100人治療して数人くらいと思ってください。いわゆる本治法が瀉法になってしまうこともあります。硬結を瀉法でゆるめると体全体にとっては本治法になることはよくあります。
補法が全身の瀉法になることがあれば、瀉法が全身の補法、本治法になることもあるのです。そのことは先日の日本伝統鍼灸学会のシンポジウムでも指摘されていました。
こういったことは20世紀後半には激論が交わされてきたのに、未だに総括や修正がなされていません。経絡治療の指導的立場の人でも、経絡治療に対する総括的批判が20世紀になされていたことを知らない人がけっこういるのではないでしょうか?
