機能性ディスぺプシアと鍼灸・手技療法その2(デスクワークの方)

前回、思いつきで原因を三つほどあげました。

1)ぜん腹腔内の上部にある臓器の手術をした。
2)デスクワークが多い。
3)糖質過多。

腹部の手術をされた例をのべたので、今回は二番目のデスクワークとの関係について述べてみたいと思います。

機能性ディスペプシアとデスクワーク

心臓から出た血液は上部へ行くルートと下部へ行くルートに大別できます。心臓から出た動脈血は身体のすみずみに送られて栄養成分や酸素が十分に消費されるのが理想的です。どこか途中で阻害されるといろいろ問題が生じます。有名なエコノミークラス症候群について厚生労働省は次のように説明しています。

食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。 その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。

厚生労働省 エコノミークラス症候群の予防のために

エコノミークラス症候群は血栓ができることを想定していますが、そうでなくても、座って作業することが多くて血液循環が悪いと問題が生じやすくなります。たとえば事務作業が多い女性は、足の冷えやむくみ・肩こり・眼精疲労などの症状をほとんどの方が経験しているでしょう。これらは末梢の血液循環が悪くなることによって生じます。

末梢の症状だけでなく女性の生理痛や便秘などの腹部の症状も、血液循環の悪さが悪化させている原因のひとつと考えられます。個人的には機能性ディスプペシアの症状も、みぞおち付近の血流が大きく影響していると考えています。

腹部へ行く血液は心臓から大動脈を介して、分岐された血管によって腹部の臓器を栄養します。十分に臓器が栄養されるには次のような条件が必要です。

  • 下半身をよく動かすことによって血液循環がよくなり、内臓の血液循環がよくなる。
  • 運動で深い呼吸をすることによって肋骨が大きく動き、酸素ー二酸化炭素のガス交換が促進される。
  • 肋骨が大きく動くには横隔膜が大きく動く。それによって腹腔内の血液循環がよくなる。

デスクワークししながら大きな呼吸をしている人はほとんどいないです。

  • 呼吸が浅くなっている。
  • 肩が上がっている
  • 背を丸めてディスプレイをのぞき込むような姿勢をしている

といった感じになっているとおもいます。こういう姿勢だとみぞおちあたりの臓器を圧迫していることになります。

こういう方を触診すると、

  • 肩が上がって巻型になっている(肩甲骨が前に滑っている)。
  • 肋間筋が硬いので肋骨が大きく動けない
  • みぞおちあたりの筋肉が硬い
  • みぞおちあたりを深く押さえると痛いかこもちわるい・ゲップが出そうな感じになっている。
  • 胃もたれ感がある。


このような状態であることが多いんです。機能性ディスペプシアだけでなく、逆流性食道炎や胃炎でも多いですね。ようするに下腹部、とくにみぞおちあたりの栄養動静脈の循環が悪いし、神経伝達も悪くなっているということです。

現代中国医学では肝気鬱結・肝胃不和・肝脾不和・胃熱などの弁証名がつく状態です。

鍼灸・整体による改善方法

鍼灸や整体でアプローチする場合、肋骨や肩甲骨の可動域の改善、下半身の血液循環の改善、胃熱や脾胃湿熱・腸胃湿熱があれば清熱・化湿してやります。

整体では熱の処理がちょっと難しいですね。ちょっとレベルの高い技術が必要です。循環よくしてやるだけでも改善しますが、鍼の方が勝負が早いでしょう。

いずれにせよ、このような施術はなんらかの改善をその場で出るようにします。出ていない場合は、施術効果があまりなかったということです。

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