機能性ディスぺプシアと鍼灸・手技療法その1(手術後の場合)

機能性ディスぺプシアの原因として「胃運動機能異常(胃が十分に動かず、食べたものをうまく十二指腸に送ることができないこと)や、胃酸過多、胃の知覚過敏(小さな刺激に反応してしまう状態)、ストレス、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への感染などが考えられているが特定はできていない」と言ったことがよく言われますが、これは原因というより病態表現のように思います。

たとえば運動機能異常といういうのならなんらかの原因があるでしょう。たとえば遺伝的な問題とか胃の栄養動静脈の循環が悪くなっているとかです。ふだんの身体の使い方、特に呼吸の影響もあることが多いです。

胃の栄養動静脈の循環能力の低下には鍼灸師目線で見ればいくつか考えられ、それを意識して機能性ディスぺプシアの治療をすれば結構成績が良かったりしますし、海外ではそういう研究もあるようです。

思いつくままに次の三つほどあげてみました

  1. 腹腔内の上部にある臓器の手術をした。上部消化管(食道・胃・十二指腸)・肝臓・胆嚢・横行結腸・膵臓・脾臓などの手術をした。
  2. デスクワークが多い。
  3. 糖質過多。

腹腔内の上部にある臓器の手術をした

1の手術に関しては胃の部分切除した私がそうだったのですが、術式や癒着などによって胃の栄養動静脈の循環が悪くなって胃と腸の吻合部あたりの機能低下を起こしているのではと考えることができます。内視鏡で粘膜側のポリープを切除するなどではまず起きないでしょう。

胃そのものの機能低下は起こしていなくてもリンパや血液の循環が悪くなるので、身体感覚が敏感なら不快感を感じるのかも知れません。リンパや血液の循環が悪くなって停滞気味になることを、中医学的には「痰飲がたまる」「湿がたまる」などと表現したりします。この部分に鍼を刺して鍼先の抵抗感覚に意識を向けると、粘稠を感じたり浮腫っぽく感じたりすることがあります。鍼や灸でこれを改善させてやると、機能性ディスぺプシアの症状が改善することが多々あります。

この場合は局所治療が基本です。鍼を使うことが多いですが、お灸や手技療法などを使うこともあります。日本には按腹という按摩系の手技療法がありますし、カイロプラクティックやオステオパシーなどでは内蔵の手術部位に対する内臓テクニックがあります。これらを駆使すれば血行改善します。浅い位置なら患者さんご自身で、毎日お灸するのもいいでしょうし、自己按摩法を習うのもいいかもしれません。

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