お灸と古民家生活 身体を温めるお灸?

日本民家集落博物館に行ってきた

豊中市の服部緑地公園内にある日本民家集落博物館に行ってきました。「かしま鍼灸治療院ビデオレター2」の後半にあります。

ある日本民家集落博物館は高度経済成長期に日本を代表する関西系の大企業がお金を出し合って、当時消えつつあった各地の古民家を買い上げ移築・野外展示している珍しい博物館です。展示されている古民家はの大半は日本各地の農家の古民家です。一部茶室や大名倉などがありますが、都会の大正・昭和の長屋みたいな古民家はありません。

行ったときに撮った動画を先輩鍼灸師に見ていただいたら、「動画に映っている古民家を見ていると、家でお灸をしていたときの環境が想像しやすいね。」とおっしゃる。

学生やひよこ鍼灸師さんたちにこの意味がわかるだろうか?
以下、読むのが面倒な方はこの動画をご覧ください。

昔の庶民が使うお灸の特徴

お灸製品がたくさん売られていますが、昔の庶民が買っていたお灸はもっと原始的なものだったと思います。昔の庶民が家で使ってたお灸での特徴。こんな感じのかなと推測してみました。

1)庶民がお灸をしていたときのの大きさは今の知熱灸くらいの大きさだった。
2)荒いもぐさが多く煙が多い。
3)棒灸・箱灸なんかも質の悪い艾(もぐさ)を使っていた。つまり煙が多い。
4)農家では自分で作っていたこともあるが、これも煙が多いことがlことをさす。

どうでしょうか?

古民家の特徴

民家集落博物館で古民家を見ながらこんな特徴を思いつきました。

1)古民家天井が高いか無くて屋根裏が見えている。
2)囲炉裏やかまどで薪や炭を使うときに煙りが発生する。
3)薪や炭で一酸化炭素中毒にならないようにする。
4)気密性も断熱性も低く隙間風が入るので、新鮮な空気が入りやすい。
家の構造材が長持ちするが寒い。
5)縁側があって、そこで軽作業したりくつろいだりできる。
6)板間が多い(畳の方が板より高い)。
7)土間がある。
8)庭が広い

庶民が家でお灸するときの背景

庶民が使うお灸と古民家の特徴を合わせて考えるとどのようなことが見えてくるでしょうか?


1)お灸は火を使うので、高価な畳より板間ですることが多かったのでは無いか?板なら落ちてすぐならさほど痕が残らないし、少しくらい焦げても使用に問題が無い。一枚板なのでヤスリで研磨するか最悪カンナで削れば再生できる。しかし現代のフローリングは無垢材であることは少なく、表面加工している合板であることが多いので焦げたら修正は面倒。


2)天井が高く気密性が低い古民家ではもぐさの煙や一酸化炭素の影響は、薪や炭を使うのに比べて遙かに低い。今のマンションや高気密住宅では棒灸や箱灸どころか知熱灸の煙さえ籠もったり臭いが残りやすい。また隣から苦情が出やすい。


3)暖かくて風の無い季節だと縁側や土間に面した上がり框(かまち)あたりでお灸を据えるのも良い。

等々、100年以上前の古民家の構造と今の高気密高断熱一戸建てやマンションの構造とでは、お灸を使う前提条件、メリットデメリットがまったく違ってくるのです。だから現在の一戸建てやマンションでは、昔の灸法はそぐわない面が多々生じます。

鍼灸師が使っている高級もぐさを使って半米粒大・米粒大の大きさでお灸を据えるのなら、マンションであっても苦情は少ないと思います。高級と言っても、むかしと違って高級もぐさを買えないほど経済的に困窮している世帯は少ないと思います。ただしこれを使ってお灸をするのには技術がいります。それなりに訓練したらできるようになると思いますが、ヤケドさせている方が多いです。

そこで、炭タイプの台座灸や棒灸が作られたり、電気式の温熱器具が好まれるようになってきました。
これはこれでいいのですが、昔のお灸法とはちょっと効果が違ってきますので、おなじ効果が得られるまではもうちょっと試行錯誤が必要でしょう。

私の古民家暮らし原体験

私は三重県に母親の実家の農家で生まれました。子供の頃に母が大病してあずけられていたことがあります。母屋は明治維新前後に建てられた古民家でした。囲炉裏のあるようなタイプの古民家ではありませんでしたが、広い土間があって、そこで煮炊きするためのかまどが現役で残っていました。冬は掘り炬燵や火鉢が活躍しています。高度経済成長期で農機具はどんどん機械化されていきましたが、ほとんど使わないとはいえ古い木製の農具が残っていました。だから昔の農家の原体験があります。

ところが今の若い鍼灸師だとそういう原体験のある人は少ないと思います。タワーマンションで生まれ育ったりするとコンロもIHだったりするので、火を使って調理する体験がほとんどない人もいるのかもしれません。せいぜいキャンプくらいだとか。おそらくお灸文化に対する意識が私のような原体験のある人間とは違うんじゃないでしょうか?

よろしければシェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次