『春秋左氏伝』(『左伝』)にみられる五材と五行

・五行の起源のひとつとして『春秋左氏伝』の五材があげられることがある。

天生五材,民並用之,廢一不可,誰能去兵
天、五材を生じ、民並びに之を用ゐる。一を排するも不可なり。
(天が木火土金水の五材を生じ、人々はそれらをみな用いて生活しており、その一でも持ち煎らなければ生活できません。だから(五材の金からできた)兵器を誰がやめることができましょう。)

『春秋左氏伝 三』新釈漢文大系明治書院 鎌田正著
  

・鎌田先生はこの五材に関して「金木水火土の五つ要素をいう。材は材能で、宇宙万物を生成するもの。」と註釈している。五材の金を使った兵器を使う戒めの文脈で用いられている。本文では五材と木火土金水を結びつける文言は出てこないが、註釈書にあるのかもしれない。そのために五行の起源として取り上げることが少ないのかもしれない。

・『春秋左氏伝』では。現在よく知られている五行の相生相剋理論がはっきりとは示されていない模様である。

・ここではそれよりも「天生五材」という文の方が重要であろう。この文脈における五材が「宇宙万物を生成するもの」とするのなら、それを元素論的な質料因とするのか、後代に形而上的な概念としてつくられた形相因としての気の五形態としてとらえているのかは不明である。文献学者は前者ととらえるのが通説の模様。

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