患者さんに「遠方の友達に鍼灸院紹介したいのですがいいところご存知ないですか?」と聞かれることがありますが、結構返答に困ります。兄弟弟子や親しい友だちならだいたいわかりますが、知人や業界の有名人程度ならよくわかりません。「有名なあの先生の治療院に行ったのに、ぜんぜん良くなかった」「ホームページ検索して良さげなところに行ったけど、書いてるほどじゃなかった」と患者さんから愚痴を聞かされることも多いです。良くなかったのは得意分野じゃなかったとか、たまたまだったかもしれませんが。
だいたい腕が良くて繁盛しているところはホームページがなかったり、ポータルサイトのペラページだったり、あってもそっけなくってよくわからないことも多いです。
Googleなどで検索するときの注意点を以下に述べますが、結論からいうと独自記事がしっかりしているサイトの治療院を選ぶのがいいでしょう。ただこれを見極めるにはプロでないとなかなか難しい。このへんのことは最後に書きましょう。
患者さんの声
患者さんの声としてアンケートの自筆回答写真を載せているサイトは結構あります。集患力のある方法だからです。
ただしこれは「やらせ」だったりすることが多いんですね。最近のGoogleはそういうのを見越して以前ほど重要視しないようになっていますが、それでもやはり強力な手法ではあります。
個人的には個人情報保護の観点からすべきことが多いので、めんどくさくって載せません。大昔にはちょっとやったことがあるんですけど、いろいろめんどうです。
Googleトップページの広告に表示されるサイト
Googleで検索したときに、冒頭に「広告」と書かれたサイトのリンクがいくつかありますが、あれはリンク先の業者が1クリックいくらとかでお金を出してGoogleに掲載してもらっています。1クリックいくらになるかは検索する単語によって違ってきます。サイトの内容や治療技術にかかわらず、サイトがトップ数行に掲示されるので、患者さんの来院率が高くなるという手法です。
Googleはおためしで○○円まで無料で使えますみたいな新規加入セールをよくやっているので、それを利用するサイトが、広告部分に表示されるかもしれません。私もやったことがあります。
毎月結構な金額をGoogleに払って繁盛している治療院があると聞いています(そういうところで働いてた友達に聞きました)。
口コミで手一杯の治療院は使わない手法です。
いい内容ほど検索に引っかかりにくい
ひとつの傾向として、治療院のサイトに関して言えば、いい内容のサイトほど、検索順位がひっかかりにくいように感じています。SEOとかキーワードとか考えずに、いい情報を書いていると、治療院レベルの記事数だと検索結果の上位になりにくいように思っています。
ただこれもGoogleのそのときどきの方針で大分変わります。
飛びつきやすい表現ほどいい加減なことが多い
・○○病の原因はこれで治る!
・○○専門
なんて宣言している治療院サイトはよくありますよね。ビフォーアフターとか。個人的にはちょっと疑問です。中国医学本来の治療は、○○専門なんてあまり重要じゃないからです。○○専門という場合には西洋学的知識に専門性があるだけで、治療そのものに専門性があることは少ないです。中国医学的によほど高度な治療ができるのなら別ですが。
○○専門が有効に働いているとすると、運動器疾患系ですかね?スポーツ外傷専門とか音楽科専門といった特殊な分野の場合には。西洋医学的鍼灸でも結構良くなることが多いです。西洋医学的な解剖生理と運動学が詳しい方がいい治療ができる分野です。
「不妊専門」「美容鍼灸専門」なんてのは、鍼灸自体の専門性はほとんどないです。西洋医学的知見に長けているだけなんてのがほとんどです。
ビフォーアフターに関してはまた別に書きたいと思います。
疾患の教科書的説明ばかりの記事
一般の方にはちょっと分かりにくいかもしれないですけれども、教科書的な書物から病気の解説部分を抜き出して、少し文体を変えているサイトは結構あります。
たとえば腰痛なら西洋医学的にどういう分類されているとか、中国医学的(現代中医学的)にどういう分類されているとかです。いくつかのサイトを検索してみて同じような記述が続いているのなら、教科書から抜き出して再編集した記事だと思っておいても、さほど間違いではないです。ぶっちゃけそういうのは対処療法的な治療、特攻穴的な治療になるので、毎回同じような治療をされることが多いと思います。
いい治療院のサイトの例
いい治療院は検索結果にあまりこだわらず、院の治療に対する考えや治療の手順、症例報告などが書かれていたりします。要するに自分の頭で書いた記事が多いサイトです。こういう治療院は信用してもいいことが多いんですが、一般の方には判断が難しいですね。うちのサイトは症例報告こそポリシーで載せないようにしていますが(一部例外を除く)、自分の頭で考えて記事書いてます、というのは半分合っていると自負していますが、多くはうちの師匠から習ったことを自分なりに咀嚼して書いているだけです(苦笑
私の所のこと書いても読んでて面白くないでしょうから、友達の鍼灸院のサイトをご紹介しておきます。神奈川県の小田原市にあるビッグママ治療室のサイトです。
院長先生とは鍼灸学校は違いますが、同じ年に入学して卒業したので、臨床歴は同じです。お付き合い始めて30年超えました(苦笑
このサイトは院長先生の治療理論と症例報告が臨床経験をとおして自分で考えて書いておられることです。それもたくさん。こんなにたくさんの症例報告や良質の記事を書いておられるサイトはほとんどないでしょう。
先生の人柄を反映したイラストや写真もとっても素適です。他の地域で検索して上位に出てくるサイトと記事を比べてみてください。「自分の頭で考える」という私の表現がよく分かると思います。