11月・12月に痛くなる腰・首・肩・膝 燥季と蔵燥

以下は燥季に多い骨傷系の痛みに対する治療講義のメモです。

10月後半から11月・冬至にかけての季節は朝晩の気温が低くなって、空気が乾燥し始める燥季ということを別の記事に書きました。

今回はこの時期に増える首が痛い・寝違い(落枕)・肩痛・肩こりが激しい・寝違えた・腰痛・膝痛いとう症状について書いてみましょう。

こういった症状が出る背景には大きく分けて二つあります。

暑季の湿熱が残ってる場合

そのひとつは、燥季の前半に多いのですが、燥季の前の湿季のときの暑さと夏バテが体の中に残っている状態で胃腸の働きが悪くなって生じる痛みです。中国医学では腸胃湿熱や肝胆湿熱とよばれる症候がベースにあって生じる痛みです。消化吸収した栄養成分が門脈を通じて肝臓に行くルートで流れにくくなっているか、肝臓で十分に処理できていない状態です。このようなときには右側の首・肩・腰・膝に痛みが生じることが多いです。どちらかというと胃腸は弱くなく、しっかり食べられる方がなる。

治療としては内に籠っている熱を処理し、鬱滞している栄養成分をしっかり流してやる、肝臓の働きを良くしてやる、というのが基本になります。

体力があまりなく、気虚・陽虚になりやすい場合

もうひとつは夏バテで体力が落ちて、あるいは夏に冷房や冷たいものを飲みすぎたりとかして気の損傷が激しく、中医弁証としては気虚や陽虚とよばれる症候になって胃腸の働きが悪くなって生じる場合です。燥季は朝晩冷えたりしますので、からだが冷え(寒邪)におかされてなるケースです。比較的胃腸が弱い、体力のない方・疲れがひどい方がなりやすい。臓腑の血行が悪くなることがベースになるので蔵燥とよび、どの臓腑に一番問題があるかを細分化して鑑別してから治療戦略を考えます。痛みは心臓のある左に出やすい。

治療としては冷え(寒邪)が入っているかどうかを鑑別し、入っている場合はその処理を優先します。

その次に気虚・陽虚の処理をして胃腸の働きを活発にしてやります。

痛みに直接アプローチする場合の欠点

西洋医学的発想の鍼灸や手技療法では痛みにだけアプローチすることが多いので、上に書いた二種類の視点を無視すると、悪化させてしまうか治療回数が増えるかということになりがちです。手技療法で治療する場合は内臓の状態との関連性をよく考えるべきです。運動器系の症状でも臓腑の影響を考えて病院病理を考えることが重要です。

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