骨董市で買った古い切りもぐさ お灸

骨董市や古道具屋さんをのぞくのが好きなんですけれども、たまに安価で面白いものを見かけます。先日に行った四天王寺の骨董市でこんなものを入手しました。なかなか古くて味のあるデザインでしょう。

一枚目の写真に「伊吹御蓬艾」「正家本家龜屋佐京」とあります。滋賀県の琵琶湖の東に伊吹山という山があるのですが、そのあたりは昔からお灸でつかう艾(もぐさ)の産地でした。もぐさは植物の蓬(よもぎ)から作られます。「伊吹御蓬艾」というのは「伊吹山(近辺)のよもぎから作られたもぐさ」という意味なのでしょう。

そのふもとに木曽海道(中山道)の柏原宿というところがありました。有名な歌川(安藤)広重の版画のひとつに木曽海道(中山道)六十九次があって、 柏原宿の一枚があります。下の写真がそうなのですが、このなに「亀屋」「かめや」「薬艾」という文字があります。「正家本家龜屋佐京」とはこのお灸のお店です。よもぎから艾を作って柏原宿のお店で売っていたのですね。この亀屋佐京さんは現存する会社で、今でももぐさを製造販売しておられます。最高級の艾を作っておられるので、鍼灸師はここからよく買います。亀屋佐京さんを知らない鍼灸師はいるのかな。。。というくらいの会社です。

冒頭写真の二枚目の左下に「定価金拾五錢」とありますから、戦前のものなのでしょう。中には下のようなもぐさが入っています。」

これは切り艾(もぐさ)とよばれるのもので、肌に直接乗せて使うタイプのものです。我々プロはこういうものを使わずに、艾を半米粒大にひねって使うのですが、慣れが必要です。そこで一般の方が自分で施灸できるように、写真のように艾を上で巻いておき切り取って使うようにしたのが、この切り艾です。

これをちぎって使います。米粒位の大きさでしょうか?ツボに乗せて火をつけるのですが、せんねん灸みたいにのりがついているのではないので、このままでは倒れてしまいます。普通は自分で使うので端っこに唾を付けて、切りもぐさを立てていたようです。昔はプロもでんぷん糊を使っていたので、でんぷん糊を使ってもいいと思います。

でんぷん糊というのは、文房具店で「フエキ糊」「ヤマト糊」などの商品名で売られているやつです。澱粉糊を点眼容器のようなものに詰め替えて使うと使いやすいです。

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