中国の伝統医学・伝承医学の伝統や伝承を担保するということ(1)

※以下はX(旧Twitter)に投稿したものです。

中医の古典や伝承の信頼性をどのように担保するのか?基本は血脈相承。伝統宗教の宗派や芸能・武術なんかで、呼び方はいろいろあると思うが、ようは祖師から免許皆伝の人々の系譜。このまわりに無名の弟子たちがたくさんいる。

たとえば日本仏教では四天王寺だと1400年以上ですかね。鎌倉仏教でも800年くらいある。その祖師たちの師をもっと遡ることができる。

詳しくは門外漢なので知らないが中国だと武術でも100-200年くらいたどれるのはままあるのでは?嵩山少林寺だと1500年くらいか。道教は唐代、儒教だともっと古くまでたどれるのでは。孔子の家系譜は今も続いてるらしい。鍼灸にも漢代から続くと言われてる家系があるよね。風水や易占の血脈相承があるようだ。

黄帝内経を作った人々もしくはその人たちから教えを受けた人々の末裔の流儀が、表にはなかなか出てこないけどどこかに残っているのでは?という疑問というか期待は持っておいた方がいいと思う。

そういうのは拝師してそれなりに修行した「門内」の人にしかわからない。「門外」の人にはわからないから門外漢という。そういう世界があるということは知っておいた方がいい。私には伝統文化の流儀の門内にいる知人は何人もいる。

じゃあその中国医学の伝統の技術そのものの正当性は何で担保されるのか?疑問が生じるのは当然だが、そこに科学や現代の文献学をもってきても本質に迫れないだろう。伝統という流儀のやり方をまずそのままやってみて自分の中に再現する努力をする。その上で現代の文献学的成果の助けを借りながら、「古代の古典に書かれているこれはどのような感覚体験にもとづくものなのか?」と自分に問いかけて再現しようとすることを繰り返すしかない。

仏教には自内証という言葉がある。仏教の解脱とは何かを論じた書物はたくさんあるけど最終的には自分の内で証するしかないという意味。しかし自分の力だけではできない。いくら文献学を精密にやっても悟れるわけではない。だから血脈相承が重要になってくる。

インドでも中国でも日本でも、もちろん西欧でも、昔はこういう学び方、学ぶ感覚がスタンダードだったんだけど、今ではすっかり廃れてしまった、という意識を持っといた方がいいと思う。

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