講座:古代中国の神秘主義的人体論をやります

令和6年5月25日に仏教サロン京都さんで、中国医学の人体論について会場とWEBのハイブリット講義を行います。中国医学の基本図書である『黄帝内経 霊枢』の本神篇を読みながら、その背景にある中国の神秘主義的人体論について解説します。ちょっと難しいタイトルですが一般向けなのと、仏教への影響を少し考慮しながらのお話をしたいと思っています。

リンク先の先の概要にも書きましたけれども、中国医学のベースには中国古代の宗教的・神秘主義的人体論が背景としてあります。しかし20世紀の反神秘主義衝動、唯物論的志向ゆえに、本文に記された神秘主義的な思考を排除した理解がなされる傾向にありました。たとえば黄帝の質問に対して仙人である岐伯は次のような回答から始まります。

天之在我者徳也。地之在我者気也。

『黄帝内経 霊枢』本神第八

この一文に対して、翻訳として定番の東洋学術出版からでている『現代語訳 黄帝内経霊枢』にはこんな訳がなされています。

天が人に付与したものは徳(気候や日光・雨・梅雨など)であります。地が人に付与したものは気(土地の産物など)であります。

『現代語訳 黄帝内経霊枢 上』東洋学術出版

この現代語訳は現代中医学の唯物論的解釈に由来するものでありますが、こういう視点だと、『黄帝内経』の背後にある黄老思想や気一元論、道器論と整合性がとれなくなってしまいます。黄老思想や気一元論、道器論と整合性をつけるためにはその神秘主義的視点が重要になってきます。『黄帝内経』の日本語訳はいくつかありますが、それを強く意識した訳はほとんどなくて、よくわからない字面をおっただけの記述になっていることが多いのです。

今回の私の講義では原文の本来のニュアンスを考えながら解説してみたいと思っています。

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