WHO(世界保健機関)が定めた鍼灸の適応症にどれだけ対応できるのか

目次

WHO(世界保健機関)が定めた鍼灸の適応症

鍼灸院のサイトを訪れるとこのような表を掲載されていることがおおいかと思います。

この表自体に問題をはらんでいると思いますので、ちょっとだけ考えてみたいと思います。

この適応症がまとめられた経緯

まず基本的なことですが、仙台にある仙台赤門医療専門学校のHPによると、これらの適応疾患は対照群をおいた研究によって決められたものではなく、素案のようなものに中国が無理押しして適応疾患を増やした分類ということのようです。ようするにエビデンスベースの分類ではない政治的要素の強い分類のようです。ただしこの20年くらい研究がかなり進んだので、すべてにエビデンスがあるかもしれません。

とはいうものの古典の時代から現代までの鍼灸書を見ると、ここにしめされている疾患はすべてカバーされているとは思います。あくまでも先人が行った治療にもとづくものであり、この項目を挙げている治療院が対応できるかどうかは別だということです。つぎにそのことについて書いてみたいと思います。

WHOの鍼灸適応症をその治療院ではどこまで対応できるのか?

鍼灸院のサイトにこの表はよく掲載されているのですが、ここに書かれている疾患の治療は簡単なものからかなり高度な技術が必要なものがあり、すべてをカバーできる鍼灸師はかなり少ないはずです。たとえば神経痛や頭痛・関節炎・五十肩・腰痛・外傷の後遺症・小児神経症などは鍼灸院によく来る症状で、比較的難易度が低く。現代医学的な解剖生理の基本が頭に入っていればなんとかなることが多いです。

ところが動脈硬化症・高血圧低血圧症、肝機能障害・肝炎などになると一気に難易度が上がります。内分泌疾患のバセドウ氏病・糖尿病・脚気はかなり高度な治療ができないと無理です。まあ脚気などは医師の治療を受けた方が早いでしょう。風邪なんかはこの中間ぐらいで、簡単なものから気管支炎・肺炎まで起こしている難しいものまであります。

それをともかくこの表を上げているからといってすべてに対応できる鍼灸師はかなり少ないと思っておいた方がいいと思います。

なんて書くと「いやいやオレは/わたしはできるぜ」という鍼灸師もいらっしゃるかと思います。

その方が古典ではなく現代医学的視点で治療するという場合に、各々の疾患に対する鍼灸治療の有効性を論じた論文を読んでいるかどうか(そのほとんどが英語になると思います)。そこまで行かなくても、医師が読むような治療のガイドラインを読んでいるかどうかが重要でしょう。たぶん全部の疾患のガイドラインを読んでいる鍼灸師、とくに臨床専門の鍼灸師では数えるくらいしかいないはずです。

西洋医学的な発想ではなく古典にもとづく治療をしている方も多いですから、そういう方は現代医学のガイドラインなどはあまり読まず、古典に書かれているガイドラインを読んで取り組みされていると思います。それでもかなり技術を要するので、きちんとできる先生の元で学んでいる人でないとなかなか難しいと思います。かくゆう私もこちらの方です。それでも西洋医学的なガイドラインは目を通しておいた方がいいと思いますが、それぞれかなりな分量なので難しいですね。

よろしければシェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次