一般の方、プロ問わず、質問されたことに対する回答コーナーです。:
現代医学でははアンチエイジング、老化を遅らせるような医学研究が盛んになってきていますが、中医学もその概念はありますか?
中医学という場合、現代中医学と古代の中国医学を分けて考える必要があります。
そもそも古代の中国医学は神仙思想と結びつき、不老長寿を目指しました。漢方や鍼灸・薬膳という外からのアプローチ、気功や呼吸法という自分で肉体を操作するアプローチ、瞑想のような心を操作する内側からのアプローチを総動員して行います。皇帝や為政者が不老不死を求めて水銀や鉛を服用して中毒になった例もたくさんあったようです。
古代の中国医学では体を天人地の三つの視点で分割し、九種類の診方を駆使して体の天の六気・地の五行・六合を整えます。それを三部九候診によって体の三才を調えるということなのですが、これが『黄帝内経』のメインテーマになっています。
ただし『黄帝内経』には心からのアプローチはあまり出てきません(肉体を整えて心を調える方法は出てきます)。これは師匠について学ばないと非常に危険なので口伝だったのでしょう。この道は今ではどこまで中国に残っているのか私にはわかりませんが、私のように密教や密教系のヨーガなどを実践していると代替になるものとして組み合わせられそうではあります。
上記は伝統的な中医学ですが、中医学というのを中医薬大学で教えている現代中医学だとすると、上記の古代から伝承されてきたものはまったく学べないと思います。ただしアンチエイジングの研究はものすごく研究されていて、漢方薬の有効成分を抽出して注射したりすることもあるそうです。
※この記事は「匿名質問箱サービス Querieへようこそ」で受けた質問回答を加筆修正したものです。