中華伝承医学入門講座の講義ノートより
目次
道器説と気の思想
『老子』五十一章
「道之を生じて、徳之を畜(やしな)い、物之に形(あら)われて、器之になる。是(ここ)を以て万物は道を尊びて(徳を)貴ぶ。」(池田和久『老子』p208講談社学術文庫)「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生ず。万物は陰を負いて陽を抱き、中(冲??)気以て和をなす」(同 p150)
池田和久『老子』講談社学術文庫
天の陽気が地の陰気に引き寄せられ、地の陰気は天の陽気に引き寄せられ、両者が交流することによって現象世界が生じます。その現象世界の最下層が形です。
「是の故に形而上なる者、これを道と謂い、形而下なる者、これ器と謂う。化してこれを裁する、これを変と謂い、推してこれを行う、これを通と謂い、挙げてこれを天下の民に錯く、これを事業と謂う。」
(『易』繋辞上伝)本田濟著 朝日新聞社p567
道から器世間(形而上・形而下世界)を生み出す働きが気であり気を陰陽や五行の観点から分節化して万物の形相因として論じるのが陰陽説と五行説である。
器世間:気(形相因)と形(質料因)→四行・五行・六気(六季)。気と形を形相因と質料因として捉えることが重要であるが、形相・質料というのはギリシャ哲学以降、西洋哲学の基本概念である。この視点が重要。
陰陽五行説にもとづいて区分けさられた季節ごとに応じた生き方をするための決まり事がある。それを実践するのが季節の養生。