中国医学における寒季(厳冬期)の発想と治療(その1)

中華伝承医学の入門者向けに行った、六季のうちの寒季に関する講義の抜粋です。具体的な治療法や脈診法・診察法は省いています。

何回か六季の治療を書いてきましたがアイデアをパクってリライトしてブログに書いている方がいるようです。師匠から教わったものを整理して書いているので、同門ならいいですが、独自の臨床経験やお考えも書いていただくと参考にさせていただきます。

同門以外の方がリライトしても、ここに書いてあるのは独特な内容なのですぐにわかります。また、ここには治療法を書いていないので、そのあたりを突っ込めばわかりますし、まず書いているような治療はできないと思います。

五運六気や六合の考え方や診察法ができて、高度な鍼の操作ができないと、この治療はできません。現代中医鍼灸レベルでは無理です。治療法書いて真似しても失敗する確率がかなり高いですし。

寒季の時期

燥季(少陰) 10月23日 ~ 12月21日(霜降・立冬・小雪・大雪)
寒季(厥陰) 12月22日 ~ 2月18日(冬至・小寒・大寒・立春)
風季(少陽)  2月18日 ~ 4月19日(雨水・啓蟄・春分・清明)

寒季の自然のイメージ

天は寒く、飽和水蒸気量が少ないので大気は乾燥しています。外気温にくらべて土中は少し暖かい(地球放射がまだある)。木はほとんど成長せず、根から少しずつ水を吸い上げるのみである。これを「寒季の樹木は土中に気の中心がある」とイメージする。

「冬はほとんど成長しない」のはなぜか?寒季は植物がいちばん成長しない時期である。だから幹が太くならない。寒さから身を守って枯れないように、中心部をちょろちょろ水が上がる程度にしているのである。もし寒季に幹が夏のように生長して水の通路に水分が多いと、水が凍ってダメージを受ける。だから中心部分で少し水が流れる程度になっている。

だから、寒季の樹木の理想的な状態は、木の外側は乾燥、フリーズドライ状態で、中を少しずつ水が流れている状態であるとイメージする。

寒季の人間のイメージ

体表は閉じていて汗をかかない状態にしておき、むくみがない状態、特に下半身がむくまないようにするのが理想的である。冬に汗をかくと、開いた汗腺から寒気の侵入を許して風邪をひきやすくなる。

からだが上記のような理想的な状態であると、脉は沈んでしっかり打ち、脉管の外側がかたいのが平。脉の外側がかたいというのは皮膚が閉じている状態を反映し、沈んでいるというのは気の中心が下半身かつ内部にあるということ、腎気がしっかりしているということである。

冬に気の中心が根(腎・下半身)の位置にないと、寒気が足、特に足裏から入りやすくなる。また、風季に内風が生じやすくなってしまう。この状態が風季の終わるころまで続くと、元気がたりなくなって、火季のころに動くのがおっくうになる(五月病)。

寒気の治療のポイント

寒季の治療はバリエーションがあまりない。

お灸は壮数が他の季節よりも増えるが、体表を暖めすぎないようにするのがポイント。汗をかくくらいあたためるとカゼをひきやすくなる。寒邪が体表に入ったときは発汗させてもよい。

深いところの流れを操作して体表側は収斂したままにしておくのが基本。


下半身が厥冷して上半身の熱が下りずに喉が痛くなることがある。

下半身に痰飲があまりない状態にする。下半身が冷えると寒湿となって内蔵も冷えるためである。また、下半身に水があると下から冷えが入った場合、痺症になりやすい。寒季の腰痛・座骨神経痛は寒厥による痺症の場合も念頭に置いておくこと。通常の腰痛治療では改善しにくい。この時期の腰痛・坐骨神経痛の症状や原因は、燥季のときとは違うのがポイント。

六季の治療

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