なぜ鍼灸を自賠責保険でうけられないのか、噂話

「交通事故の自賠責保険と鍼灸」という記事で自賠責保険で鍼灸の施術をうけられるはずなのに、保険会社の内規で受けられなくなっているようだと書きました。保険会社や地域によっても違うかもしれませんが、なぜ保険会社の内規で受けられなくなったのかを、あくまで噂話として書いてみたいと思います。

昔話

昔、鍼灸でも自賠責保険で受けられた時代は「施術料は労災基準でお願いします」といわれました。会社と医師の同意があれば、労災を扱う登録している鍼灸院で、労災として鍼灸を受けられます。治療院にいって治療する場合で、治療院の売上としては現在だと4000円〜4500円くらいです。往療の場合は3000円弱加算されます。しかし多くの鍼灸院は自費なので、大阪市内だとこれも今は5000円から8000円くらいが相場という感じでしょう。手間なんかも考えると、そこそこ患者数の多い鍼灸院だと自費で治療する方が売上があがるわけです。ということは、その自費基準で自賠責保険の会社に申請しようとすると、保険会社は困ります。

それに対して整骨院・接骨院はもともと健康保険での施術が主でしたから、やや施術料が高いので、「労災基準で」だとありがたいわけです。健康保険での施術は毎日のように来院させてたので、同じように自賠責保険の「労災基準」の患者だと、かなり売上に貢献してくれます。まあ自費基準で請求していたところもありましたが。

そこで鍼灸院側は、回数の調整で保険会社と交渉したりしていました。一回の施術料が自費で労災基準より高くても回数が少ないのなら、保険会社としたらトータルでの支払いが安くなるので都合がいいわけです。まあそのあたりは鍼灸院は保険会社の支払い基準を考えながら、保険会社がトータルコストを考えながら交渉で調整していたということです。

以上は、私も自賠責保険を扱っていた10年以上前の話です。

その後の噂話

ここからその後の噂話。

鍼灸師にも柔道整復師にも業界団体がいくつもあって、その多くは健康保険の申請を取りまとめもしています。施術所側も申請書の不備をチェックしてくれるので、団体に属した方がありがたいので、加盟率は高いです。

で、自賠責保険を取り扱っている保険会社は柔道整復師の業団と折衝して、「自賠責保険基準」を作ったのではないか、というのが噂としてあります。これが事実であれば、その基準を守ってくれる整骨院・接骨院だと保険会社は安心なわけです。いくらになるかわからない自費で請求する施術所は排除して、基準がしっかりしている施術所だに絞ったのでは?ということですね。

鍼灸師は柔道整復師などよりもずっと一匹狼的な感じで仕事をしている人が多く、業団との結びつきが薄いですし、業団の政治力も柔道整復師の業団ほど強くありません。

とはいうものの、「なんで鍼灸院で自賠責で治療できないのか!」と、患者さんが裁判したら、勝訴するかもしれませんけれども、弁護士費用の方がはるかに高くつくので、訴訟する意味がありません。交通事故で患者になった鍼灸師が業界の今後のために私財を投げうって最高裁まで争うというのであれば、かわるかもしれませんけれどもね。。。

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