映画のスターウォーズに出てくる銀河系最高の剣士でありジュダイ・マスターのヨーダ。このヨーダという言葉の由来は、ウイキペディアによると公開されていないらしいが、サンスクリット由来かもしれない。
辻直四郎先生の『サンスクリット文法』の用例(p211、上の写真)で見つけたんだけど、動詞のyudh(戦う)を戦士という名詞化するときにuがguṇa化してoに変わり、行為者名詞の接尾辞である-aが加わってyodhaになる。サンスクリットではoの発音は長母音なのでカタカナ表現するとヨーダになる。
ちなみにyodhaの性は男性形で、男の戦士を表す。女性形は名詞のあとにāもしくは ī をつけるという規則がある。ā は形容詞的に使うときで、たとえばyodhāputra(女戦士の息子)みたいな感じで使う。単独で使うようなときにはī の方をつけるので、ただたんに女戦士の時にはyodhī になるのではなかろうか?そうするとyodhīputra(女戦士と息子)のようになる。ただしモニエルの定番サンスクリット辞書には載ってないので(写真)、yodhīという言葉はないのかもしれない。
ここからは余談だが、サンスクリットで難しいのは名詞に八つの格変化があり、数が単数・両数・複数と三種あり、さらに性が男性・女性・中性の三種に分類される。形式的には8×3×3で72種類の語尾変化する(実際は同じものがあるのでもうちょっと少ない)。
その格変化の語尾には、男性名詞なのに女性形のように見えるものがあったり、女性名詞なのに男性系にみえるものがあったりとか、とにかく難しい(日本語と比べるとビックリするでしょ?)。
漫画にはサンスクリットから拝借したと思える単語が散見し、水樹和佳のイティハーサは物語あるいは歴史物語という意味のサンスクリットだし、かれこれ40年以上前、SFマガジンに連載されていた、原作光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』という萩尾望都の漫画にもでてきていたように記憶している。SFや特撮、ファンタジーなんかの登場人物や地名を神話から取ってくるのはよくあるので、ヨーダもそういうもののひとつなのかもしれない。