帯状疱疹後の後遺症のひとつに神経痛があります。帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。5%~20%に合併するとされています。ほとんどの場合は片側のみにあって、痛み・かゆみ・しびれ・熱感などがあり、胸郭、肋骨に沿って出た場合は下着があたるだけでも痛かったりします。
原因としては皮膚や神経にダメージがあって炎症が起き、神経の異常な興奮で痛みが生じると考えられています、などと現代医学では説明しますが、私のような裏稼業的な治療家を長くやってますと、それだけではおさまらない例をいくつもみています。「何ヶ月も病因に通っているけど治らない」なんて方が、視点を変えると劇的に改善することはよくあります。
それはともかく、帯状疱疹後神経痛が、神経そのものの損傷によるものか二次的に生じているのかという疑問があって、二次的な原因なのかというのはいつも悩みます。
以下に、痛い部位の筋緊張がゆるむことによって症状が劇的に改善される例を取り上げたいと思います。いわゆる整体的な関節操作法で簡単に痛みが改善する例です。
帯状疱疹後の後遺症 関節機能異常由来と思われるもの
機序
呼吸するときに胸郭が大きく上下します。肋間筋などの呼吸筋群が肋骨を動かします。そのときに胸肋関節と肋椎関節も動きます。胸肋関節は前胸部中央の胸骨と肋骨の関節で、肋椎関節は脊柱の椎骨と肋骨の関節です。
肋骨に出た帯状疱疹の急性期は非常に痛みが強いので、深い呼吸をするとすごく痛んだりします。そうすると意識的・無意識的にかかわらず呼吸するときの肋骨の動きを最小限にしようとします。そうすると
- ・主として肋間筋の動きが悪くなる。
・肋間筋の動きが悪くなると胸郭の血液循環がわるくなる。
・それが繰り返されると胸肋関節や肋椎関節の動きが悪くなる。
・胸肋関節・肋椎関節の動きが悪くなると肋骨の動きが悪くなる。
・そうすると痛みが出やすくなる。
このようなループが生じます。つまり、上の例は痛みの直接原因が神経損傷によるものではなく、肋間筋の柔軟性と関節の可動域が低下したことによって血液の流れが悪くなり、神経の促通に異常が生じたのが原因となっている場合です。
改善させるには、肋間筋の筋緊張と肋椎関節・胸肋関節の可動域を正常に戻すための手技療法を行います。ナントカ整体とか、カイロプラクティックやオステオパシーのナントカテクニックみたいな名前がついていたりすることもありますが、ようするに筋肉と関節の機能を改善してやる技術ならなんでもいいです。たぶんやってることの基本構造は同じです(笑。
ただ鍼灸でやる場合は胃腸を整えたり、身体全体の気のバランスを整えたりする技法が加わります。
患者さんご自身での確認方法
この症状で改善する場合かどうかを患者さんご自身で確認する方法があります。
痛みが出ている反対側の親指・人差し指・中指どれかの指腹を痛い部位の肋間にあててゆっくり垂直に圧をかけて、そのまま肋間にそって手前にゆっくりひっぱるようにします。ひっぱったら数秒じっとそのままにしてゆっくり圧を抜きます。これを何回か繰り返します。
これでその部分の神経痛症状がすこしでも改善されたら、上に述べたような方法で治るケースです。痛みが増強するようなら本当に神経損傷している症例なのかもしれません(診てみないと分からないです)。
病院ではここで書いたような視点で対処されることはほとんどないと思うので、その場合は当院にご連絡ください。